まだまだ巨大化を続ける人間圏を、我々は今後どのように運営していくつもりなのか。恐竜は最後にはあっけなく絶滅したものの、トータルでは1億数千万年という長期間にわたって繁栄した。ところが人類が誕生してから、まだ1000万年にもならないのに、すでに絶滅について考えねばならなくなった。
人間圏が安定して存在できるかどうかは、その規模次第といえる。たとえば10億の人からなる人間圏なら、現在の豊かさを維持したまま1000年間は持つことだろう。だが、世界人口100億人ともなると、せいぜい100年という時間であろう。
人類は、サルから分化したヒトとして地上に現れてから500万年たらず。人間としての文明を持ってからわずか1万年という短い時間で、大きな課題を抱えてしまっているのである。
「『1万年後の「人間圏」』松井孝典『SINRA』1998年5月号(新潮社)より」
内容の問題
Ⅰ1~7を読んで、本文の内容と合っているものに○をつけなさい。
1( )人間以外の生物は食料を生産しない。
2( )人間は、はじめから生物圏と分かれて、人間圏を作っていた。
3( )人類が他の生物と同様の生き方をしたら、人口は1000万人ぐらいだっただろう。
4( )人間圏の存在は地球システムやエネルギーの流れに変化をもたらした。
5( )1人の人間のエネルギー代謝はゾウ1頭分より少ない。
6( )人類は人間圏を作ったことで、巨大化した。
7( )人類は恐竜よりも長く繁栄するにちがいない。